■有名な大学教授との出会い
営業マンの嘘の「銀行の裏ルール」に騙され、利回りの良くない物件を保有してしまった私は、挽回の方法を探して不動産投資セミナーに参加していました。 そんな時に不動産投資セミナーで講師をされていた大学教授と知り合いになる機会がありました。 ご自身でも多くの物件を保有されている不動産投資家で、 数社の不動産会社から依頼されセミナーの講師をしたり不動産関係のイベントに来客として招待されたりと、不動産投資の世界では有名な方でした。 その後も知り合いの紹介で何度かお会いして、私の物件や今後の方向性などについても相談させてもらっていました。
そんなある日、教授からあるお話がありました。
「物件を買取って利回りの良い物件と交換してくれる業者がいるから、君に紹介してあげよう。特別だよ」。
これを聞いた私は、是非お願いする事にしました。
■教授から紹介されたN氏
教授に案内されて銀座の小さな雑居ビルにオフィスを構える会社を訪問しました。 2階が応接室で3階が事務所という受付もない小さな会社でした。そこの登場したのが社長のN氏。 スーツは着ていますが色黒で首には金のネックレスをかけ腕には金腕時計と教授の知り合いとは思えない方でした。 しかし教授の紹介によるとN氏は不動産業のかたわら不動産経営に失敗した人の救済活動をしているとのことでした。
そしてN氏は言いました。「お世話になっている教授からの紹介なので利益なしでやりますよ。特別ですよ」。
悩んでいた私は藁にもすがる思いで話を伺う事にしました。
■N氏の救済活動の方法
そのN氏の提案とは、私の物件をN氏が買取って不動産ブローカーに売却し、 同時に利回りの良い新築物件を自分が住む部屋として住宅ローンで購入するというものでした。 住宅ローンと言っても実際に住む必要はなく賃貸として使用することが可能。 一時的に住所変更は必要になるが物件の管理会社と提携できているので、銀行からの通知などの郵便物は実際に住んでいる住所に転送できるとのことでした。
話だけを聞くと住宅ローンを使用する以外はとても良い条件でした。悩んでいた私は正直なところ心が大きく揺らぎました。 また教授の後ろ盾もあり、紹介して頂いた教授の面目を潰すわけにもいかないので怪しいと思いつつも話を進めてもらいました。
■商談を進めると
何度か雑居ビルの2階のオフォイスを訪問しN氏と商談を進めました。
商談では、融資の金利や物件の利回りなどとても良い条件が提示され、さすがは教授の紹介と感謝の気持ちでいっぱいでした。 しかし、時を追うにつれ、融資の金利がいつも間にか5.15%のサポートローンが併用になっていたり、 税金の還付金が返済計画に含まれるなど商談を進めていくうちに少しずつ条件が変ってきました。そして物件の売却や取得時の税金、固都税の話は一切出てきません。
そして商談はいつも手書きでの説明でした。なぜ印刷物で説明できないのかを指摘すると、 新築物件は家賃が想定なので約束できない収支は紙には出せないとのことでした。
あまりにも「うさん臭い」のでこの話はお断りしました。