「MANAS」ショールーム訪問体験談
MANASの東京ショールームは中目黒駅から5分ほどのビルの中にあります。
■ MANASとの出会い
このMANASとの出会いは、インテリア系のイベントに参加した方から見せて頂いたカタログでした。
たくさんのカタログの中でひときわクオリティ感と品格が群を抜いていて、その後もずっと印象に残っていました。
ホームページを見ると、カーテンやファブリックなどの写真が美しくならんでおり、 仕事柄多くのファブリックを目にする機会のある私も大変心を奪われる作りでした。
その中でも【The Story】としてブランドにまつわるストーリーのブログが、 それぞれのブランドの魅力が大変わかりやすく発信されており、参考になりました。
■ ウィリアム・モリス
ウィリアム・モリスのデザインは、日本では大変ポピュラーでアパレルや雑貨などでも見かけることがよくありますが、 こちらのMANASでの取り扱いはさすがのラインナップで、 一枚一枚がさながら美術工芸品のようで見応えのあるものでした。
接写した画像がこちらです。
ブログでも、「実は鳥を描くのが得意ではなく最初の頃は親友であるパートナーに描いてもらっていた」などの、 ウィリアム・モリスが好きな人でも知らなかったようなちょっとした情報が盛り込まれていて、より親しみを感じられます。
そのウィリアム・モリスの中でも私がぐっと心を捕まれたのはピュア・モリスのシリーズ。
独特の繊細な細密画のようなモチーフを活かしながらも、素材にリネンが含まれていたり、 白やアイボリーなどの色調が多く使われていたりなど、どことなく和のテイストもあり、 ウィリアム・モリスのデザインでありながら和室に取り入れてみたくなるような深みと奥行きが味わえる世界観になっています。 インテリアに関して比較的保守的な年配層の方にも好まれそうなデザインです。
ウィリアム・モリスというと伝統的なイギリスの重厚なインテリア・ファブリックを連想しますが、 このようなモダンなテイストを取り入れたラインナップも充実しており、 伝統を重んじるだけでなくそのコンセプトを尊重しつつ革新を採り入れているところにこのブランドへの思い入れを感じます。
MANASスタッフの方のブログより
・【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス
・ モリスのある風景
・ MODERN LIVING×PURE MORRIS
■ ニナ・キャンベル
ルームデコレーターの中でも先駆者であるというニナ・キャンベル。ブログによると、 ニナ・キャンベルはデコレーターとしてクライアントの住まいをコーディネートするとき、 まずクライアントとの親交に多くの時間をかけるのだそうです。
クライアントのライフスタイルや、大切にしているものなどの根本の価値観を理解することで、 その人の個性を引出し他にはない唯一無二の空間を創り上げるのだとのこと。
住まいを大切に、クライアントの価値観を大切にしている様子がうかがえるエピソードです。
今回のシリーズはアンリ・マティスからインスピレーションを受けてデザインされたとのことで、 明るく開放感のあるデザインが印象的でした。
こんなファブリックをインテリアに採り入れたら自然に心も開放的になれそうです。
間近で見るとその美しさがより際立ちます。
MANASスタッフの方のブログより
・【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル
■ マシュー・ウィリアムソン
MANAスタッフの方のブログ紹介でもひときわ印象に残っていたマシュー・ウィリアムソン。
この方はもともとアパレルブランドのデザイナーであるというだけあって、 壁紙やカーテンなど全てが独特の世界観にあふれています。 本国イギリスではステーショナリーのシリーズも展開されているとのことですが、 それもさもありなんと言えるスタイリッシュさで、 カーテン一つとってもほかのどこでも見かけたことのないマシュー・ウィリアムソン独自の世界を感じます。
先にインテリア・ファブリックを見せて頂いたのですが、 あとから壁紙のラインナップを拝見したときに、 「これはマシュー・ウィリアムソンの壁紙では?」と素人目にもわかるほどでした。
MANASスタッフの方のブログより
・【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン
■ MANAS取扱いのラグ・カーペット
このMANASのショウルームでなんといっても一番印象に残ったのは、 ラグ・カーペットが想像を超えて充実していたことでした。
工芸品のように入念な作りのものや、シンプルだけれどもシックなものなど、 ラグのコーナーだけひたすら見ていても飽きないほどでした。
またその作りも凝っていて、一見すると何気ないシンプルなラグに見えるものでも、 植毛の密度が一般の製品よりも何倍も濃くかき分けてもかき分けても土台の生地が見えないしっかりした作りになっており、 押してみると指の戻りの感触が普通のラグとは全く違うのが感じられます。
ラグは日々その上で日常生活を送るものなので、 こういった「本当の意味での本物」のラグを踏みしめて生活している人の足は、 ラグの違いを歩いた感触で感じ分けられるのではないかと思いました。
ふと、子どもの頃に読んだ「本当のお姫様」の童話を思い出しました。 本当のお姫様はどんなにお布団がふかふかでも、 その下に仕込まれた豆つぶの存在に感触で気づくというものです。
子どもの頃はその童話の意図が読みとれなかったのですが、 昔の王朝貴族のたしなみとして、 「本物に触れて価値観を養うことで本物を知る」というのが大切な教養の一つだったのではないかと思いました。
■ ショールームを後にして
沢山のブランドをご紹介していただきましたが、 最後に振り返ってみるとラグが本当に充実していたことが印象に残りました。
インテリアの中ではカーテンやソファなどのように目立つ存在ではなく脇役的な位置づけに考えられてしまいがちですが、 こちらの品揃えの充実により、ラグを見ているだけで「ラグにはこだわった、 ラグから考えるインテリアのスタイリングをしてみたいな」などと新しいインスピレーションも生まれてくるほどでした。
昨今の傾向として、インテリアへのこだわりに関してファッションへのこだわりと同じように 独自性やストーリーを求める人が増えているように思います。 各ブランドに奥深いストーリーがあり、 本当の意味で「インテリアにこだわりたい」層のニーズにも応えられる多彩なラインナップになっているのが、 こちらのショウルームの強みではないかと思いました。
今度は是非、大阪や名古屋などのショールームにも足を運んでみたいと思います。
大阪ショールーム
名古屋ショールーム