京和風アパートを見学
伊勢原市は神奈川県のほぼ中央に位置し、人口は10万人ほどで北西端に位置する大山が有名で、豊かな自然と遠くに見える雄大な山並みは、都心から1時間のアクセスとは思えぬ風景です。
目的地に着き驚きました。屋根は波瓦をあしらった切妻屋根で作られており、塗り壁風の外壁や目隠しの格子が京の趣です。
建物も敷地もまさに伝統的な日本家屋の造りでとても賃貸アパートとは思えません。
建物の正面に立ち玄関を見上げると、重厚感のある階段と玄関ドアに圧倒されました。
2世帯の玄関ドアをシンメトリーに並べ、その玄関へと続く階段を同じ幅にすることで、あたかも1つの大きな玄関に見えます。
正確にはメゾネットタイプの1棟4戸建てで、1階の部屋と2階の部屋の玄関ドアがシンメトリーになっています。
このシンメトリーの組み合わせで、4つの玄関ドアと2つの大きな階段が並ぶと、それだけで壮観です。
この階段を上がって玄関ドアの前に立つと、右手には白い砂利敷きの庭に見事な枝ぶりの「びわの木」がありました。
まさに「京」を感じさせる日本庭園の趣です。
私も多くの賃貸物件を見てきましたが、建物の中に入る前にここまで驚かされたのは初めてで、その設計というよりも「感性」に感服しました。
ところで、「なぜ柿の木庵なのにびわの木?」と疑問に思い聞いてみると、この敷地が元々は柿の木畑だったことに由来して「柿の木庵」と名付けたそうです。そしてアパートを建てるにあたり、びわの木は絶対に残すように友人が懇願したとのことです。
このびわの木に対する想いがこの京和風アパートをより良い物にしたのだと思います。
玄関ドアを開けると和風の外観とはうって変って、白を基調とした明るい洋風の空間です。
玄関には大きな使いやすそうな収納と全身を映し出せる姿見がありました。
女性の方には間違いなく喜ばれると思います。
玄関で私が最も驚かされたのは土間の素材です。
一見すると絨毯のような美しさで、それでいて汚れが付きにくい、これまで見たことのないものでした。
玄関の廊下を抜けるとまずリビングです。
外壁は和の趣でありながらも、建物の中は現代の日本人のライフスイタイルに合わせ洋室で設計されたようです。
リビングからは庭先に先程の見事な「びわの木」が見えます。
大家さんのたっての願いで、この樹齢十数年の木を最大限活かすように建物を設計してもらったとのことでした。
それだけこだわりたくなる程に、このびわの木のある風景は圧巻です。
キッチンもビルトインの3口コンロやシングルレバーのシャワー付きの蛇口など充実した設備でした。
キッチンカウンターの反対側は収納になっており、実際に住むと便利に使えそうです。
賃貸でありながら床下収納までついています。
洗面台も明るく機能的です。
お風呂は広く美しく、まるで分譲マンションのショールームのようです。
書斎部屋は落ち着いた雰囲気に仕上げられています。
子ども部屋です。明るく楽しそうな部屋でお子さんにも大喜びだと思います。
私がなによりも驚いたことは、この部屋の設備に特注はなくすべて標準仕様とのことです。
ここまでのこだわりの造りを標準仕様だけで実現している点に建築会社さんの本気感というか意気込みを感じます。