■元銀行支店長 G氏との出会い
営業マンに騙され、助けを求めた大学教授にも騙され、更に不動産会社にも騙された私ですが、 それでもくじけることなく、次の一手を探して不動産関係のイベントに参加し 情報収集を行っていました。そんな中で、ひとりの年配の方が多くの方と交流されているのが見受けられました。 そしてイベントが終了する時に参加者同士で二次会という話になりましたが、 この二次会で私の向かいの席に先程の年配の方が座られたのです。これがG氏との出会いでした。 G氏は不動産オーナーということで不動産の知識がとても豊富な上、金融や事業関係にとても詳しく、 よくよく問うと元は大手地銀の支店長だったとのことで納得しました。 現在は銀行を退職し起業家として新たな事業を検討し活動を始めたとのことで、 事業の話になるとG氏は少し自慢げに話し始めました。 「事業は不動産よりも収益が大きく安定した収益が得られる。 しかし事業は銀行の審査が厳しく融資を得ることは難しいが、私なら融資を得られる。 また事業を始めても失敗する人は多が、私は銀行で多くの事業の詳細を見ているので 何をすると失敗し、どうすれば成功するかがすべて分かっている」。
この話に心が弾み、後日詳しいお話を伺う約束をしました。
■G氏の事業方針とは
G氏のお宅に伺い事業について優しく説明して頂きました。
事業の展開の仕方は多々ありますが、G氏はご自身の年齢も考慮し 「早く展開でき大きくなる事業」を検討していました。 G氏の計画は、飲食店や介護施設、ネットカフェなど、企業が起業や運営のノウハウやサポートを提供するフランチャイズ方式で、 当面はフランチャイズのスキームで店舗を増やし、 その後はノウハウを吸収して、すべて自分で運営していくというものです。
G氏は何社かのフランチャイズ会社と話を進めており事業計画書も作成していました。
その計画書を見せて頂きましたが、資金計画から毎年の収支計画、事業の展開方法など詳細に記載されており、
すでに事業として出来上がっているかのようでした。
■師と仰いで事業活動を手伝う
G氏の事業計画の話は1日で終わる規模ではありませんでした。その後も何度かG氏のお宅に伺うようになり、 事業活動の手伝いをすることになりました。 やがてG氏と共にフランチャイズを提供している企業を訪問したり、事業関係者との打合せに同席したり、 普通のサラリーマンには経験できない体験や事業についての生の情報を知る機会に恵まれました。 当時の私はG氏を師として尊敬していました。
そんな中、G氏から共同経営者にならないかとの誘いを受けました。「1店舗目、2店舗目は私が始めて経営を見せてあげよう。君はその後から付いてきなさい。3店舗目は君の店舗だよ」。
そして共同経営者の証しとして出資金を要求されG氏に託したのです。
■事業活動が具体化
G氏の事業活動も机上での検討を終え具体的に動き始めました。 事業を始めるためにはフランチャイズ会社や店舗運営のための打合せが必要です。 これまではG氏との作業が中心だった私も、G氏と一緒に外に出て多くの方々と会う機会が増えていきました。 しかし、外に出ることでG氏の大きな問題が見えてきました。ささいなことでも簡単に怒りを爆発させてしまうのです。 相手を見下した態度をとることもしばしばで、意見が食い違うと暴言を吐く事さえあり、 事業を進める関係者ともトラブルが多発し計画はすぐに頓挫してしまいました。 そのような場合も相手が無能だからと片付けてしまいます。
どれだけ有能でもG氏は経営者としては失格でありこの事業は成功しないと考え、苦渋の決断でG氏と決別することにしました。
決別の決意を伝えると、G氏は私にも罵声を浴びせ、出資金はこれまでの授業料だとして返済を拒否したのです。 G氏を師と仰ぎ尊敬していた私は大きなショックを受けました。 しかし、既にG氏からの卒業を決意していた私は、卒業試験として出資金を取り返すことにしました。