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HOXAN ショールーム訪問レポート
(2018/5/2:良波直哉)
 

HOXAN(北三株式会社)について

HOXANは銘木・天然木・ツキ板の総合メーカーです。
私はガーデニングが好きで、レンガやコンクリートよりも木材を使った庭造りをしています。
また、住宅の建築やリフォームにも木材をもっと採り入れることで、ナチュラル感のある住みごごちのよい部屋造りができるのではないかと以前から思っていました。
HOXANのホームページを見た時に木材へのこだわりが感じられるサイトだったのが印象に残っており、一度は行きたいと思っていたのもあって今回こちらのショールームにお邪魔しました。

※ HOXANについてはこちら
  → HOXANのホームページ
  → HOXANのショールーム

HOXANショールーム訪問

こちらのショールームは新木場駅から5分ほどの北三本社の二階にあります。

ショールームに入ってすぐに迎えてくれたのは整然と並ぶ二段の銘木です。
控えめでありながらも凛と立つその姿は、三十三間堂で知られる京都 蓮華王院本堂の仏像の並びを思わせます。
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これらの銘木と一緒に展示されているのが、かつて木材を選定する選木員が銘木と認めた原木にだけ刻印を打ったという斧です。
大正13年創業の伝統と、銘木に対する揺るがない誇りを感じます。
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この斧で打った刻印がこちらです。
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そしてその奥には透かし彫りのようなパーテーションが建て付けられていました。
こちらのショールームは隔たりの無い1つの大きな空間となっていますが、このパーテーションでエントランスだけは他とは違う独特な雰囲気を醸し出しています。

見事な演出です。
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ショールームの奥に進むと一変して明るい空間となり、美しい木材のサンプルが1枚ずつ丁寧に展示されています。
これまでさほど木目というものを気にしたことが無かった私も、個性豊かな木目の魅力に取り込まれてしまいました。
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この木目を見事に表現した作品として展示されていたのがこちらのギターです。
「キルテッドメープル」という近年では希少な種類の樹木が使用されているそうです。
独創的な美しさは、まさに自然が生み出した芸術作品です。
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私がもっとも惹かれたのは、こちらの照明です。
背後から光を当てることで木目の美しさを浮かび上がらせています。そのセンスには感服しました。
主役の「光」をも凌駕し、幻想的でありながらも木目の強い存在感が表現されている素晴らしい作品です。
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木目を浮かび上がらせたサンプルもありました。
やわらかな光と個性豊かな木目が独特な雰囲気を醸し出し、別世界へといざなわれるようです。
もはや木材の域を超えたアートです。
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天然木目だけではなく、その美しさと魅力を活かしキズや汚れから守るための「塗装」についてもこだわりがあるようです。

塗装は「無塗装」から始まり「三分塗装」「五分塗装」というように段階別に展示されていました。
このように順を追って違いを見比べると、同じ素材であっても塗装の段階により様々な表情が出ることがよく分かります。

左端が「無塗装」で順に塗り重ねたものが展示されており、最終的には右端の「鏡面塗装」となります。
「鏡面塗装」は、サンプルの前に立つと自分の影が映り込むほどになりますが、それでいて木目の美しさが塗装に負けていません。
木材を保護しながら木目を活かす塗料にも、木材メーカーのこだわりを感じます。
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そして私は最後に度肝を抜かれました。
このショールームに入った時に、丸太のような木が横たわっていましたが、加工前の原木と思いさほど気に留めずにいました。
しかし帰り際に、紙のように薄くスライスされたものが幾重にも積み重ねられたものと気付いたのです。
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これは「ツキ板」と呼ばれるもので、木材を0.2mmの薄さにスライスしたものだそうです。
1枚のツキ板を創り出すためには様々な伝統の業と知恵が凝縮されているそうで、 前田利家公が加賀百万石で育んだ「金箔」に通じるものがあると思いました。

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この「ツキ板」がこちらの会社の創業のきっかけでもあるようです。
以下はHOXAN(北三株式会社)ホームページの沿革からの抜粋です。

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1918年(大正7年)北三の創業者、尾山金松は、冬山で伐採した後に残されていたタモの切株に目を付けました。
切株にナタを入れると、美しい木目がのぞいており、尾山はこれを買い取って切削し、下駄の上に貼りつけてみた
ところ、独特の玉杢目が浮かび上がってきました。この下駄を「すずらん履き」として売り出すと大評判になり、
その後の1924年にツキ板企業の先駆者として、北三商会を創業しました。
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(訪問日:2018年4月20日)

ショールームを後にして

木材に対する強いこだわりと想いがとても良く伝わってくるショールームでした。
エンドユーザーではなく企業・業者さんを対象にしていると思われますが、その分プロ向けの展示が大変充実しており、他では得られないような木材の知識を得ることができました。
特に木目や材質、塗装もさることながら、「ツキ板」は大変参考になりました。

希少性の高い美しい木目を持つ高価な木材でも、ツキ板を使用することで安価に手に入れることができます。
更に合板や金属板と一緒に使用することで、天然無垢材の特徴である割れ・ひび・反りなどの弱点もカバーできるというメリットもあります。
準耐火構造や防火構造のためにコンクリートなどの難燃性が求められる建物でも、ツキ板を使うことで天然木の表情を生かしたまま制限をクリアできるそうです。

無機質感の強い高層ビルやタワーマンションも、ツキ板を使用することで木の温もりが感じられる心地よい建物になるのではないでしょうか。
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